1/5の罪と傷、6%の生きる糧
この頃には車を所持していた私は、

日本でも免許を所持していないくせに

スタッフ達に

ドライブの仕方を教えてもらい、

その技術だけ習得した。

今の日本では絶対にありえないし

絶対にしないけど、

無免許だけ、じゃなくて飲酒運転で

ドライブをする事は常習だった。

今から考えれば恐ろしい、あの運転で

一度も事故なく捕まらなかったのは

私が居たのが日本じゃなくて

サイパンだったから。

道路がシンプルにできていたし、

ミニスカートを履いていれば

ポリスはご機嫌で私に手を振るだけで

私が無免許だとは思わなかったから。





真夜中に、

ワインを片手に車を飛ばして

私が行く場所は、

バンザイクリフ。

リゾートで知られるサイパンの

歴史はとても血なまぐさい。

第二次世界大戦の後、

「天皇陛下万歳!」

と叫びながら集団自殺した自殺の名所。

夜になれば観光客もいなくて、

聞こえるのは海の音だけ。

見た事もないほどの星が

プラネタリウムみたいに

空いっぱいに広がる。

私は、寝ころんでひたすら星を眺める。

感傷的にはならない。

多分お化けもいない。

何も頭に浮かばないし、

何かを考える訳じゃない。

どちらかと言えば都会が好きだった私。

都会の刺激に満ちあふれた生活が

大好きだったけど、

海も自然も

ただ、そこにあるだけなのに

何も言わないし

何も主張しないのに





ただ、本当に癒された。







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