つぶやき

02_失恋


いやぁ
一度でも失恋の経験があって良かった
と思うのは
わたしが歳をとったからかなぁ

好きな人から
別れを告げられて
目の前が真っ暗
って
正にこのことだったんだと

でも……
だって……
それでも……

と続ける言葉に
相手は耳を傾けることもしてくれなくて

ほんとに
心臓が止まってしまうくらい
きゅぅっと痛いんだよねぇ

夕日を見ては泣いて
カップルの後ろ姿を見ては潤んで

どこが悪かったんだろうとか
どうすれば良かったのとか
ぐるくる巡っても
結局どうにもできなくて

友達にぐちって
酔っ払って
月を見上げながら夜道をひとり歩いた

ある時
乗り合わせたバスの中に
とても素敵な笑顔の女性がいたのです

それはそれはほんわりと笑ってるの
可笑しくて笑ってるんじゃなく
ニマニマしてる訳じゃなく
仏様のように笑ってるの

嗚呼
わたしもあんな風に笑える女性になりたい
そう思った

それからかな
心の痛みが薄らいできたのは

失恋の痛みと共に
今でもその女性の笑顔を思い出します
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