乾柴烈火 Volatile affections
こんな感じで

幼稚なバトルは続いて、

電話でしゃべるときの声が

うるさいとか、

お店の開店2時間前から

お手入れをしているところが

ナルシストだとか、

ダイエットのために

断食をしたりするのは

マゾの証拠だとか、

挙句の果てには、

時々鏡の前でダンスを踊る事まで

暴露された時、

ブチきれた私が

彩の両頬をつねって、

黙れ。

と言って、

ようやくバトルが終わった。

その間

常連さんは

ずっと声を殺して笑っていて、

二人は本当に仲良しだね。

と言った後で、

「ねぇ、志保ちゃん。給料は払うからさ、今週の日曜日、僕の家の引越し手伝ってよ。お願い!」

という、

アルバイトをくれた。

私はこの時期を境に、

特技はなに?と聞かれれば

お掃除です、

と答えるようになり、

男女問わずに

色々な人の部屋を

片付けることになり、

こうやって出来た私の特技は、

意外にも

その後何度も

私の人生を助ける事になる。

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