オレの相棒。



悠弥先輩の家を後にして、兄貴の横を自転車を押しながら歩く。

「兄貴はさ、」


「ん?」

"悠弥先輩の事好きなの?"という言葉を飲み込んで、変わりに「なんでもない」と答えた。


「変なやつだな」

と笑う兄貴。今までこんなに笑うこともなかった。


兄貴は俺の越えたい壁。

昔から目標であり、いつも尊敬していた。でも今回ばかりは負けたくない。


「…兄貴は悠弥先輩の事、好きなの?」

今度は対等の立場で、兄貴に見てほしい。

「なんでそんなこと聞く?」

「真面目に聞いてんだ。」


「わかんねー。ただ…気になるていうか、あいつのせいでオレ自身が変わっていって…。今はあいつなしが考えられない」



なんだ、兄貴。

それを世間一般、"好き"って言うんだよ。





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