オレの相棒。
"余裕"と影山は言ったんだ。
…あいつ。
だんだんとイライラが積もってきて、それが球にも表れた。
「ボール、フォアボール」
ストライクが入らなくなった。そんなオレを見かねて、悠弥がタイムをとる。
「なんかあった?」
「別に。」
「影山に何か言われたの?」
「…あいつ絶対許さねー。」
「それは次の回の攻撃で、借りを返そうよ。とりあえず、打たして行こう」
言い残してまたホームベースへと帰っていく。
ノーアウト満塁でバッターは四番。悠弥の言う通りに打たせるけど、簡単に打たせるつもりはない。
狙いは…センターへの浅いフライ。
肩の強い西条の所へ打たせ、影山をホームでアウトにし、一気に2アウトだ。
オレは握りをストレートに持ち替え、悠弥の方を向いた。