オレの相棒。
二アウト満塁のチャンスで打者は悠弥。
…その足じゃ……。
でもこのチャンスをモノにしないと、厳しくなる。
「神風ー、ここで一本頼むぞ!!」
状態を知らない部員達の声援を聞き、悠弥は笑ってバッターボックスに向かった。
……………何かしそうな目で。
一球目、相手投手の投げた外に逃げるようなカーブを足の怪我なんか忘れたように踏み込んだ。
その打球は、三塁にいるオレの頭上を越えて、飛んでいった。
「ファール」
審判の声を聞き、溜め息が漏れる。
なあ、悠弥。
もう振らなくていい……。
おとなしく三振してくれよ……。
その思いは届かず、悠弥は何度も何度も思いっきりバットを振った。