好きの代わりに…



…ねえ。
お母さん…。


今日、あたしの高校の入学式なんだよ?


…ねえ…



下唇を噛んでその気持ちを我慢する。






ガラスの割れる音が激しさを増す。


耳を塞ぎたくなるぐらい。


まるで気にしていないかのようなそぶりをして落ちている破片を踏まないように洗面所に向かう。




あたしは、何を気にしないようにしてるのかな?







「…大丈夫…笑わなきゃ…」



そう自分に呪文をかけてリボンを結ぶ。







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