上司に恋しちゃいました
そろそろ夕飯の準備でもしようかと思っていた頃、来客を告げるチャイムが鳴った。


チェーンをかけてドアを開けると、そこには鬼の王子の姿があった。


びっくりしてドアを閉めようとすると、指輪がはめられた左手でドアを抑えられた。


「入れてくれないか?」


真剣な眼差し。少し、怒っているようにも見える。


「でも……」


あたしは明らかに動揺していた。


あれほど会いたくないと思っていたのに、家に来てくれて嬉しいと思っている自分がいる。


断るのは簡単なはずなのに、受け入れたい気持ちが勝ってしまう。


あたしはいつも……こうして鬼の王子の誘惑に負けてしまう。
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