上司に恋しちゃいました

あたしは言ってはいけないことを口走ったんだ。


燃えるように熱くなっていた身体を、一瞬にして冷まさせるような一言を。


鬼の王子は腕時計を見て「やべ、早く戻らなきゃ」と笑った。あたしも笑い返す。心は空白のままだった。


仕事も結婚もどっちも諦めたくないなんて、贅沢なのだろうか。


何かを掴みかけて、あたしは自分で手放そうとしている、そんな気がした。

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