上司に恋しちゃいました
何事もなかったかのように式は進行していく。


司祭の深みのある声が、厳かな教会内に響き渡ると、清浄な風が流れていくようだった。


誓いの言葉を述べると、参列者側からすすり泣きが聴こえてきた。


やけに近く、大きく聴こえるので、目の端で泣き声の方向を見ると、なんとお母さんが号泣していた。


必死に声を押し殺そうとしているものの、耐え切れず声が漏れているといった状況だった。


新郎側の両親はにこにこと嬉しそうにしているのに対して、うちの親といったら、母は号泣し父は仏頂面といった有様だ。


恥ずかしさの奥に、こらえ切れない嬉しさと寂しさがあった。


お母さんの泣き顔を見ると、あたしも泣いてしまいそうだったので、必死で聖書を読む司祭の顔を見ていた。


それでも、我慢できずに漏れたすすり泣きが耳に入ると、胸の奥が熱くなって、目頭が潤んだ。
< 311 / 341 >

この作品をシェア

pagetop