夏空





雲一つない部活日和な日だった。


「ふはぁー…疲れた」


部活で疲れた私たち女バスはストンとベンチに腰を落とした。

そして、持ち歩いている制汗剤を体にぬった。


みんなが制汗剤を使うため、
たくさんの制汗剤の匂いが混じり、部室の空気はすごく悪かった。


「えっ?!」


突然の声は唯ちゃんだった。


「うちの制服がないんだけど……知らない?」


明らかに私を睨んでる。

でも、私じゃない。


「歩、知らない?」


冷めた声で聞かれる。

私は当たり前に


「知らないよ?ごめん」


と答えた。

周りからも私への疑いの声があがる。


「康助のことで恨んでるの?」


唯ちゃんが聞く。

はっきりと、否定はできないけど、ここで頷いてしまうと犯人にされると考えた私は首を横に振った。


「そっかぁ……」

「うん、なんかごめんね」


何故か謝る私。

ここで変に突っ掛かるとバスケ部にいれなくなる気がしたから。

「なんで歩が謝んの?
だったら、うちの方がごめんだよ。勝手にうたがっちゃったし」


下に俯きながら、そう呟く唯ちゃんに「大丈夫、大丈夫」と私は笑った。








< 22 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop