私がヒールをぬいだ時
『ひかるは昔から他のメンバーより一歩引いてしゃべってたよな』


『そうかな…』


『聞いてるほうが多かったんちゃうか?』


『言われてみたら…うん、そうかもしれん』


『だからよく相談とかのってあげてたやんか』


『新伍、意外に見ててくれてたんやな』と私は笑った


『俺はうしろの席やったから、人間観察してたんや』


『今日はいっぱいしゃべってくれるんやね、嬉しいわ』


『あほか…そんなんちゃうわ』


中学の時…覚えてないんだろな


私と席が隣だった新伍。鑑別所に入ってる間、私はノートをこっそりとってあげてた


鑑別所から戻ってきた日に机の中にノートを入れといた私


新伍は気付いてたけど、ノートを机にだしてくれなかった


それがショックで放課後一人で教室で泣いてた私

嫌われたと思った


『ひかる、はよ食べな冷めるで』と新伍はぶっきらぼうに言った


『あ、はい。ありがとう』


そんな私達が大人になって、こうやってお昼食べてるなんて…


私はそんな場面に憧れてたから嬉しい


35歳も悪くないものだ
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