【短編集】フルーツ★バスケット
時間にして、ものの数分だったと思う。
真剣な眼差しで見詰められて、
手際よくあたしの顔に優しく筆やブラシを動かしていた。
「出来たぜ」
手鏡を渡され、初めて自分の変わった姿を瞳にした。
これ……
「あたし?」
「文句あるか!?」
無いです。
まだ、信じられない。
普段している化粧とは全然違う。
まるで、雑誌のトップに飾られる芸能人とか、モデルさんのように映っている。
「あの……、
どういう目的?
何の約束?」
「……質問の多い奴だな」
それ以上何を言うわけでもなく、黙ったままあたしの手を引いたままこの家を後にした。