【短編集】フルーツ★バスケット

 躊躇する事なく服を脱ぎながらも、過激な文字はまだまだ続く。

 息が……乱れてる。

 文字の力って凄いんだね。

 Hをした事がないわけじゃない。

 子供だっているし。

 だけど
 こんなに激しいのは実際にはした事がない。

 怖いけど、身体が勝手に反応してる。

 嫌なら退室ボタンを押せば済む事なのに、何故か押していない。

 代わりに文字を打つ作業が続く。

《何をして欲しいの?》

 心の中を見透かされているように聞いてきた。

 頭に過った願望は……。
 って…恥ずかしいよ。
 でも、文字を打つだけなら……

 カタカタカタカタ……。

 すぐに返事が返って来た。

《声に出して言ってごらん》

 ……!!!
 なんで口にしてないって解るのよ!

 これ、チャットでしょ?
 文字のやり取りでしょ?

 声に、出さなきゃダメなの?

 
 覚悟を決め、誰が聞いてるわけでもないのに、蚊の鳴く様な声で発音する。

《嫌ぁぁぁ!》

 思わず本音を文字にしてしまった。

 発音したのは自分なのに
 こんなに恥ずかしい想いは今までした事ないよ。

 これを合図にしたのか、この男の文字トークがいっそう激しくなって来た。

 今のですっかり理性が崩れた。

 文字だけ、……なのに、見えない相手にされるがままにされて…いる。

 もう止めてぇぇぇ!!



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