【短編集】フルーツ★バスケット

 チャットを終了する前に

《気が向いたら》
 なんていったくせに。

 昨日丸一日空いただけでジュンの事が気になって、気になって、仕方が無い自分がいる。

 なんで?

 たかが、文字のみの会話でこんなに気になるなんて。

 さぁ、仕事仕事。

 気を取り直し、いつものようにパソコンに向かうものの、開いた所は

 一昨日体験してしまった変なチャット。

 まぁ、覗くだけ覗いてみよう。

 確実な約束したわけじゃない、そこにいる保証も無いまま掲示板を確認する。

 見覚えのある掲示文句が目に入った。


【あなたの時間の許す限り話しませんか?】

 まぁ、考えが似てる人なんて沢山いるだろう、と名前欄をみると

【ジュン 31歳】

 この間の人かなぁ?

 半信半疑のまま、入室を試みてみた。

《こんばんわ》

 反応無し。

 う~ん、とりあえず5分くらい待ってみようかな。
 唯待つのも勿体ないし、仕事しながら反応を伺った。

 こんなに気になるんならチャットする日を約束してればよかった。

 あ、メアド聞かれたときに教えてれば良かったのかぁ。

 ……はぁ。

 話したいのに、出来ないもどかしさに溜め息をついた。

 広告宣伝の仕事もいつものようには捗らないまま30分は軽く時間が過ぎた。

 ダメだ!
 今日は寝よう。

 ♪~♪~♪~

 丁度そんな事を思ったとき、会話が更新された音がした。

 画面をみると


《ゴメンネ来てたんだ》

 あっ、居た。

 なんというタイミング。
 あと、3秒遅かったらパソコンの電源切っていたよ。

《反応無かったからもう退室しようかと思ってたの
 ところで、この間話をしたジュンだよね?》

 だって、ジュンなんて名前いっぱいいるんだもの。

《そうだよ。
 多分ね
 合言葉覚えてる?》

 そうだ!
 そんなの決めたんだっけね。



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