同じ空の下で
「真鈴、君も危ないじゃないか」
雨音が少し強まって来ている。じめじめとした空気が、嫌な臭いを漂わせている。もしも……。
「もし、次に私達が貴田先生に出会ったなら、その時は私も祐希くんの味方だと判るわね」
「……そうだよ。だけど……僕は一人ではいられない」
そうなんだ。僕は自分一人じゃ何をすればいいのか、どこへ行けばいいのか全く判らない。それに、もうそんな次元ではなくて僕には真鈴が必要になっている。
「大丈夫だよ、祐希くん」
真鈴は笑った。とても自然な笑みだった。
「私は、どこにも行かない。祐希くんと一緒にいるから」
僕は大きく頷いた。その時、部屋の隅で小さな物音がした。僕らは音の方を向き、身構えた。
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