同じ空の下で
僕はそれを手にとる。古びた、埃だらけのギター。だけど不思議に、懐かしい感じがする。子猫が足元で鳴き続ける。ギターの音色を待っているのだろうか。
「弾いてみてよ」
子猫に代わって、真鈴が僕にリクエストをする。僕に躊躇する理由などなかった。誰よりも僕自身が、今それを求めているんだ。
僕はすぐ近くのパイプ椅子に腰掛け、音を鳴らしてみる。何年も使ってないようなもののはずなのに、音は全く狂ってはいなかった。チューニングする必要もない。
試しに3つほどのコードを出鱈目に弾いてみる。大丈夫、ちゃんと奏でている。僕は深呼吸をした。
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