同じ空の下で
僕は妻を見た。妻も僕を見た。
お互い口には出さなかったが、きっと同じことを思ったに違いない。
このペンギンは何を言っているのだ。
僕は笑い出しそうにさえなった。何故ペンギンに、僕たち夫婦の愛を確かめられているのだろう。そう考えると愉快な気持ちにもなった。
でも妻は、僕から離した目線をペンギンに向けると、じっと見つめた。少なくとも僕と同じように、愉快になどは思っていないようだ。
ペンギンは足を入れたボウルの位置を、その足を使って少しだけずらした。氷のコツコツという音がした。窓の外を見ると相変わらず日差しは強く高く、まだしばらく室内の電灯を点ける必要はなさそうだ。
「何故そんなことを聞くの?」
不意に妻が口を開いた。もちろん僕にではなく、ペンギンへの問いだった。ペンギンはすぐには答えず、少し俯くとこう答えた。
「私はあなたたちの秘密を知っています」
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