同じ空の下で
「そうか。あなたは自分の能力が生み出された理由を知らないのね」
貴田先生は驚きの表情を見せたが、どうやら本当に驚いているみたいだ。
「結論から言うと、殺したのは私たちじゃない。父親は本当に喧嘩の仲裁に入り殺されたし、母親がそのショックで自殺したのだって本当。だからあなたは記憶の入れ替えが出来るようになった。あなたがそれを望んだから」
僕自身が……望んだから? 確かに、そんな辛い記憶など要らないと思うだろう。だけどそんな想いだけで、能力が身についたりするのか?
「私たちは選ばれた人間なの。さっきも言ったでしょう? 世界には特殊な人間がいるって。だけど、中には能力を持つのにきっかけを得られず、その能力を発揮できぬまま人生を終える者もいるわ。それと、人間だけとは限らないかもね。まぁ、今はそんな事どうでもいいわね」
僕の気のせいだろうか、また雨は一段と強くなっている。これも、能力なのか?
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