同じ空の下で
「素敵な歌ですね」
歌に夢中になっていて気付かなかった。声の方へ目をやると、僕の椅子にペンギンが座っていた。座っているというよりは、ちょこんと腰掛けているという感じだ。
一瞬、僕は錯覚だと思った。次に、大きなぬいぐるみだと思った。
「やあ」
話す。やっぱり、ちゃんと話す。
「やあ」
僕は返した。何故か、自分の中の驚きは少ない。というよりは、何か懐かしい感じがした。
「話し忘れていたことがありました」
僕はギターを置き、話を聞くために身構えた。窓の外はもう、暗くなり始めていた。
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