二藍蝶
「ミキちゃん、居たんだ
 仕事は?」

「寝坊して、休み」

私を見つめる、男性の瞳。

彼は、くしゃっと顔を緩めて
私に微笑みかけてくれた後
ドアの中を覗く。

「ユキ、ちょっと来てみぃ
 カイリが、女連れてる」

「うそ、本当?」

ドアから顔を出したのは
きっと、さっきの声の人。

とっても、綺麗な人。

「カイリ、彼女?」

「ああ、そう、藍」

「はじめまして
 沢井 藍です」

一見、冷たく、近寄りがたく
感じる、その女性もまた男性と
同じように私に、にっこりと
可愛らしく微笑んでくれた。
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