二藍蝶
瞳を潤ませて、頼りなく話す
私を、浬が見つめる。

あの場所には、帰れない。

苦しいの・・・

大好きな人は、その優しい瞳に
愛する人の姿を映す。

愛する人に微笑む・・・

『ママ・・・

 苦しいよ』

私の頬を伝う涙を見つめる
浬の瞳が、一瞬だけ
寂しい色に染まった。

流れる涙・・・

「ここに居て・・・
 俺の傍に居ればいい」

浬の言葉に顔を見合わせて
驚く、雪乃と幹生。

「じゃあ、せめて
 連絡だけはしてね」

「はい・・・」
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