二藍蝶

笑えない†藍

春一番の風が吹き抜ける
季節。

私は、波打ち際
薄い夏物のワンピースを
着用して、海に、膝まで浸かる

「アイちゃん、この辺りに 
 視線お願いします」

大きな波が、ひとつ

ザバーン

着ている洋服を濡らす。

冷たくて、気持ちいい。

「はい、OKです
 本日の撮影は、終了
 致しました

 ありがとうございました」

拍手が鳴り響き、私にコートを
羽織らせる、付き人の亜希子
さんこと、アコさん。

「アイさん
 洋服、濡れちゃいましたね?
 早く、着替えましょう
 
 風邪引いてしまいます」
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