二藍蝶
加賀さんは、鞄から何かを
取り出した。

「アイ、顔をあげなさい」

顔を上げた私は驚く。

そう、加賀さんは大きな手鏡を
私へと向けていた。

その鏡に映る、私の顔。

冴えない、私・・・

「今のままの貴女でいいの?
 
 こんなにも、つまらない顔
 をして、貴女はこれからも
 生きていくの?」

これが、今の私?

加賀さんから手鏡を奪った私は
じっくりと自分の姿を映した。

左右に、顔を動かす・・・

「私、じゃない・・・」

今、この鏡に映る私は
本当の私じゃない。

浬が抱きしめてくれた私は
どこにもいない。

「こんなの、私じゃないよ」
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