月の影
抵抗

雨が落ちる

傘に濁点を垂らし

耳障りであたしを苛つかせる




どうして
あたしは、このひとが好きなんだろう





そのひとの影は遠くて近い

タバコの匂いのする背中に触れられそうで‥触れられない




あたしを呼ぶその声はとても低い

低くて甘い

耳の奥にとろりと流れてしまう程




どうして、あなたじゃなきゃダメなんだろう



あたしの抵抗を表すような、無残な雨



きらいよ
ねぇ、先生
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