年下の君に恋をして
父の言葉は予想はしていたけど、実際に言われるとやはりショックだった。

今なら、まだ東京のアパートに戻れるかもしれない。管理人さんに聞いてみようかな…

「分かりました」

「ちょっと、有紀子…」

私はお母さんの呼び掛けに構わず立ち上がり、自分の部屋へ行った。

そして4つのバッグの内の2つを両手にぶら下げ、部屋を出て玄関へ向かった。

「有紀子待ちなさい。どこへ行くつもりなの?」

「東京に戻る」

「こんな時間に?」

「車だから大丈夫よ」

「父さん、何か言ってよ?」

お母さんは、憮然と座っているお父さんを振り返って言ったけど、お父さんは…

「放っておけ」

の一言だった。

「じゃあ私も行くわ。それに有紀子は、そんな重そうな物を持っちゃダメよ。今頃が一番危険なんだから」
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