年下の君に恋をして
母は翔太を抱いた翔に気付き、怪訝な顔をした。

「あ、えっと…」

「はじめまして。小田嶋翔と申します」

「翔……さん? え? じゃあ…」

「そうなの」

「あら、まあ…どうしましょう。急だからびっくりしちゃったわ」

「ごめんなさい」

「とにかく座っていただいて。私は父さんを呼んで来るから」

「お店があるんだから、後でいいでしょ?」

「何言ってるのよ。商売どころじゃないでしょ?」

そう言って母は父を呼びに言ってしまった。

「いつもは冷静な母なのよ。あんなに慌てた母は珍しいわ」

「無理もないと思うよ」

「父はね、ちょっと頑固な人なの。何か言われたら、どうしよう…」

「俺は何を言われても平気だよ。覚悟は出来てるから」

「ありがとう。翔、会わない間に大人になった?」

「そりゃあね。パパだから」

「うふふ。翔太はパパに抱かれてご機嫌ね」

「そうなのか? よく分かんないなあ」

「すぐに分かるようになるわよ」
< 167 / 178 >

この作品をシェア

pagetop