年下の君に恋をして
「翔、悪いけど起きて?」

翔をそのまま寝かせてあげたい気もするけど、そうしたら逆に後で怒られちゃうと思うから、翔の肩を揺らしながら、優しく声を掛けた。

「翔、ドライブ行くんでしょ? そろそろ起きてくれないと…」

ようやく翔が、うっすらと目を開けた。

「起きた? ごめんね、気持ちよく寝てたのに」

「あ、おはよう。もう出掛ける時間?」

「うん」

「目覚めのチュウして?」

「え〜っ、やだよ」

「さっきしたじゃん。夢だったのかなあ」

「お、起きてたの?」

「やっぱ、夢じゃなかったんだ…。寝込みを襲うなんて反則だぞ。だからもう一回。してくれないと、起きない」

「分かったわよ。目つぶって?」

「やだ。有紀子がどんな顔でするのか見たいから」

「そんな事言われたら、余計できないよ…」

「いいから、早く」

「しょうがないなあ…」

チュッ

私は素早く、翔に触れるだけのキスをした。

「早過ぎて、有紀子の顔見られなかったよ。もう一回」

「ダメよ。もう、起きなさい!」

「ちぇっ。分かったよ、起きるよ」
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