レス―Q
【消防の心得-2】





「なかなか
しっかりしているね。

高校卒業してから
四年間は
ずっとアルバイトを?

それまで違う会社で
働かなかった理由と
この消防署の志望動機を
聞かせてくれないかな」






面接官は
四年間も
フラフラしていた理由を
どう答えるのか
突いてきた。







そんな
答えづらい質問を
九古は難なく返した。







「私は年間この地区が
全国一番に火災件数の
多いとこだと
伺いました。

消火作業の職種に
携わりたい私は、
過去四年間
採用がなかった
この署で働きたい為、

採用の枠が空いた今年
試験に望ませて
いただきました」






つまりは
この署で働きたい為
他の仕事には就かず

四年間
待ち続けたと言う話だ。







それを聞いた面接官は
感心を示した。






「おお、よく調べたね。

だけどウチの署は
事務職と技術職しか
空いてないんだ

それでも労務に
携わりたいかな?」






すると九古は
その返事には
強く断りを入れた。






「それならば
私はお断りをします。

どうしても私は
消防吏員を希望します」







九古の言う消防吏員…
(しょうぼうりいん)






消防職員は
消防本部に勤務する
公務員の総称であり、

このうち消火や
救助に当たる者を
消防吏員(消防官)
と呼ぶ。






消防職員の
ほとんどが
職員吏員であるが、

面接官の言うのは
これ以外の
事務職や技術職の
採用募集だ。







普通の面接ならば
『与えられた仕事は
何でもやります』
くらいの事を
言わなければ、

意欲不足と言うことで
不合格になる。







だが、
逆にここまで言い切る
消防吏員への想いが、

面接官に
確かに伝わった
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