甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「まっかせなさい!」

「へ?」

「へ、じゃないわよ。この恵美様にまかせて!」

背筋をピンと伸ばし、胸に手を当てる恵美ちゃん。なんだか楽しそう。

「とにかくあのイケメン君の正体を暴かなくちゃね」

「どうやって?」

「顔はバッチリ覚えたから。あとは職権乱用?」

「ちょっと! 個人情報はダメだよ…」

私の口に人差し指を当て、もう片方の手でシーと声をひそめる恵美ちゃん。

「大丈夫だから、心配しないで」

「でも…」

「うちの社員かどうかが問題よね…」

「社員だとしても何千人もいるんでしょ? そこから探すなんて無理じゃない?」

「そんなことないわよ。条件で絞り込めばなんとかなるわ」

「そうなの?」

「社員ならね。関連会社の人とか、お客様だと難しいわね」

ここは大手マスコミ系会社の本社。

社員の数も多いが、関連会社の人やアルバイト、フリー契約の人、お客様などなど、大勢の人が出入りしている。

毎日来る社食でさえ、見覚えのない人の方が多い。
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