俺様と奏でるハーモニー


これでも、見た目は「お嬢」だから、こういうときは得をするのよ。


だけどやっぱり、大師範のおじい様は鋭かった。


「由奈さんのようなしっかりした女性が、うちの孫のどこを気に入ってくれたのかお聞かせ願いたい」


う……。


顔、料理の腕前、体の相性、なんて言えないわ。


というより、何だかそこより、大事なポイントができちゃったのよ、最初の夜から。


本人にも言ってないのに、こんな大勢に囲まれて、こんなことを言わされるとは!


仕方がない、嫁にもらってくれるんなら、これくらいのことは白状しましょ。



「修平さんは、いつでも真剣に私のことを考えてくれます。

今までも、未熟な私をハラハラしながら見守っていてくれていたんだと思います。

私の気持ちを尊重しながら、時々強引に、でも上手に導いてくれる方です。

修平さんとだったら、きっと幸せになれると確信しました。

……それと、尺八を演奏する修平さんは、とっても素敵です」


おじい様が修さんに尺八を教えていなかったら、こうならなかったはずだから。



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