俺様と奏でるハーモニー


「あのね、そういう意味で言ったんじゃないわ。一般常識として、だから。

森本先生が合格した時、同い年だからって、自分よりキャリアの長い人を『同期』なんて言ったら、ひんしゅくを買うのはあなたなの。

そうならないために訂正しただけなんだけど」


「あぁそうですか!

ごめんなさいね、世間知らずで。

芹沢先生と違って、私は頭が悪いですから、五十嵐先生に勉強を教えてもらいたかっただけなのに」


「あら、さっき『察してよ』とか言ってなかった?」


「芹沢先生のお気持ちはよ~くわかりました!

採用試験の前にこんな事を言われて、私が落ちたらどうしてくれるの!!

もしまた落ちたらあなたにこんなこと言われたからだって言いふらしてあげる!」



……五十嵐先生が握っている携帯から、私と森本先生のさっきのやりとりが聞こえた。


楽器庫の中から録音していたの!?


私が『今一番しなければならないことは何か!』なんて啖呵をきってるのもばっちり録音されていた。


五十嵐先生、恐るべし!!

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