僕はいつでもキミの傍に
43 鈴村 総一郎

空はどんよりとした曇り空で、今にも雨が降り出しそうだった。

「こんにちは……柏木瑞穂ちゃん」

そう言って声を掛けると、目の前の少女が歩く足を止めた。

黒い髪を二つ結びにして赤いランドセルを背負った少女は、俺に背を向けたままグッと拳を握り締める。

それからゆっくりと振り返り、円らな黒い瞳が窺うように俺を見つめた。

「今日は一人なんだね?いつものお友達は一緒じゃないの?」

「……あの子は風邪を引いて今日はお休みだから」

俺の問いに彼女は小さく呟くと、そっと辺りを見回した。

俺達二人の周りには誰も居ない。

いや、それを狙ってこんな裏道で声を掛けたんだから当たり前だ。

近所の住人にでも見つかって通報されでもしたら面倒臭い。

……変人ならともかく、変態のレッテルを貼られるのは絶対に御免だ。
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