僕はいつでもキミの傍に

「本当に……これでいいのか?」

彼の囁く様な問いに、また強く唇を噛み締める。

……だってどうする事も出来ないじゃないか。

その呟きが声になる事は無く、俯いたままただ拳を握りしめた。

「俺はやるよ。……そう決めたからな」

彼はそれだけ言うと、僕に背を向け歩き出す。

「……どうしてだよ」

彼の背中に呼び掛けるが、彼は振り向かない。

「なんでだよ!!」

ボロボロと涙を零したまま彼の背中に叫ぶと、彼がそっと足を止めた。

「それなら、俺を殺せばいい。柏木瑞穂の父親を殺した時と……同じように」

彼は微かに振り向いてそう言うと、泣き続ける僕を見てニヤリと笑った。

「俺は命を賭けるよ……レン。お前が早く気付けるように」

彼はそれだけ言うと、また前を向き……眩しい太陽の下を歩いて行った。
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