《完》心の中の虚像 –幽霊と友達–
「どうして、逃げるの。」

 その子は、今にでも泣きそうな声で言った。

「しゃっ、喋った!!!」

 美陽も、もう少し言葉を考えなきゃ。

――本当に怖いよ。逃げたいよ~~。――

「ひどい!!もう何年もここにさまよっているのに・・・」
「えっ???」

 なんだか、かわいそうな気がした。

 その子はきっと・・・友達が欲しいっと思っているはず。


 でも、態度で示すことは出来なかった。

 お互いに無言のまま5分ぐらいいたら、

「美陽。」
「あっ。いた!!」

――良かった。――

 友達が来たので、そのままついていった。

 そして何とか、工場から脱出することは出来た。

 
 でも、あれから、ずっとあの子のことを考えていた。

――友達になるべきなのか――

 そうしている間に、夏休みが過ぎっていった。


< 2 / 95 >

この作品をシェア

pagetop