悩める高校生時代

出会い


「宮下!!」


理科教師の狩賀(かが)の怒鳴り声で少女の机に突っ伏していた体がピクンと痙攣した。
宮下奏恵(みやした かなえ)はのそっと体を起こすと、奏恵の席の目の前で大きな溜息を吐いた。


「お前よくそんなに寝れるなぁ。怒り通り越して感心するよ」

「先生の退屈な授業のおかげです」

「一回しばくぞ」


奏恵は目覚ましに教科書で思いっきり殴られ、渋々ノートを開いた。近くの生徒は奇異の目で奏恵をちら見し、また授業に戻った。


“変人”


奏恵は普段そう呼ばれている。
見た目は可愛らしい雰囲気を持っているのにも関わらず、少し変わった言動や行動をする不思議ちゃん。

中学の時精神病院や障害児学級に入れられそうになった事もある程だ。
まぁそれは勉強面では支障が無かったため逃れられたわけだが。


高校に入ってからは本人なりに気をつけるように心がけてはいたが、そう簡単にレッテルは剥がせないらしい。
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