DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「俺は、少し寝るから。誰か訪ねて来ても出なくていい。電話も出るな」

「千聖」

 部屋へ入ろうとしていた千聖は、未央の声に黙って足を止めた。

「その石ね、白雪姫みたいに分厚いガラスの箱に入ってた。桜ヶ丘の住宅街にある米村聡吉っていう人の家にあった」

「分かった。―― ありがとう」

「千聖」

 足を踏み出した千聖を、もう一度未央が度呼び止めた。

 未央にとっては千聖がなぜ石の事を知りたがったかより、気掛かりな事があったのだ。

「何?」

「どうしてそんな事知ってる?って訊かないの?」

 ドキドキしながら敢えて問い掛ける。

 千聖は自室の方を向いたまま答えた。

「訊かない。言っただろう?自分の事だけで精一杯だって。それに他人の事なんて興味ない」

「一つの家の中にいても?これからずっと一緒に暮らすかも知れなくても?」

「俺はいつまでもあんたと暮らす気はない」

「千聖――」

「もういいだろ」

 背中越しにそう告げて、千聖はドアをパタンと閉めた。

「私は千聖のこともっと知りたい。私のことも知って欲しい。仲良くなりたい。だってせっかく出会ったんだもの。それに千聖の目、とっても淋しそうなんだもの。でも―― 駄目なのかな……。ねぇ、千聖」

 未央はポツンと呟いた。



★……★……★……


☆NEXT☆

「おい未央、千聖って奴と二日も一緒にいて何してたんだよ?」

「えっとね、車で家に行って、一緒のベッドで寝て、それで――」

「えぇぇええっ!!おまえ、なんて事したんだ!俺たちまだ高校生だぜ。なのにあんな事してこんな事して―― うぉぉおお!羨ましいぜ!」

「バーカ。一人でやってなさい。私、帰るから、じゃあね」

  MISSION3
  ― プリンセス・スノーホワイト ― へ続く。




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