Faylay~しあわせの魔法
「それから、新たな任務地だ。依頼人は南のエスティーナ町長。明朝出立しろ」

「了解」

「任務完了時点から24時間、休暇を与える。エスティーナでしっかり休養を取れ」

「え……」

フェイレイは驚いてアリアを見る。

「初任務でお前の足についていくのはヴァンガードも疲れるだろう。リディルにも休養を取らせたいからな。いいか、きっちり24時間だ。依頼がたまっているからな」

「ありがとう母さん!」

「支部長だ!」

ドガーン、と本日3度目の穴が開いた。

それを見ながら、秘書のブライアンがメモを取る。

「壁の修理代、床の清掃代、支部長の洋服クリーニング代、請求先、フェイレイ=グリフィノー」

「ちょ、待って、ブライアンさん!」

「規則ですから」

「そんなぁー!」

ガックリと肩を落とすフェイレイを、ヴァンガードは目を丸くしながら見ていた。

「……驚いたか?」

アリアが訊くと、ヴァンガードは笑顔を作り、軽く首を振った。

「いえ……ちょっと、意外でしたけれど……」

「まあ、そうだろうな。しかし、あれがセルティアの『英雄』だ」

少しだけ信じがたいような顔をするヴァンガードに、アリアは誇らしげな笑みを浮かべてみせた。

「一緒に行けば分かる」

「……はい」
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