Faylay~しあわせの魔法
「フェイレイさんは、リディルさんのことが好きなんですか?」

「ええええええええ!!!」

驚くほど大きな声を出して、フェイレイは飛び上がった。あまりにも大袈裟な反応に、質問したヴァンガードも飛び退く。

しばらく目線を合わせたまま固まっていた2人だったが、突然フェイレイは、ヴァンガードの肩を鷲づかみにした。

「な、なんで分かったの!? お前、ホントに天才なんだな!」

小声でそう言うと、ヴァンガードは少しだけ目を丸くした。

「なんでって……ええと……普通に、分かります」

「だってバレないようにしてんのに! お前凄いよ!」

「えっ!? だって、あの……その。水着の妄想とか」

「バカ──! そういうことは内緒にするんだ! 俺、変態だと思われたら嫌だああああ!」

「……」

ヴァンガードは言葉を失った。

思いきり目の前で喋っていたことに、本当に気付いていないのだろうか?

チラリとリディルを伺うと、彼女は少し離れたところから、無表情のまま2人を見守っていた。その表情からは、何を考えているのかまったく読み取れないけれど。

「知ってると、思うけど」

ヴァンガードは小さく呟く。

リディルは妄想も今の呟きも、ちゃんと理解しているし聞いている。

知らぬは本人ばかりなり、だ。

「この人……ホントに『英雄』なの?」

支部長であるアリアには、一緒に行けば分かると言われたが。だんだんと、疑いたくなってきたヴァンガードだった。

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