白衣を脱いでキス。



そこからたいした話題という話題はなかったけど。

でもやっぱり心臓はドキドキしたまま。


「あ、ここです」


思っていた以上に家までの時間が短く感じた。


「家、暗いけど、家の人はいないの?」


一戸建ての築山家を車内から見ながら先生が心配そうに言う。


「共働きなんです」


あと1時間もすれば帰ってくるはず。


「そっか。じゃあ、また明日ね」


「はい」


本当に明日も行っていいんだ。

あたしが車を降りてお礼を言うと、いえいえ、と笑った。

あ、笑うとちょっと幼く見えるかも。

先生の車を見送ろうと立っていると、助手席の窓が開いた。


「家に入るまで見てるから、早く入りなさい?」


「はぁい」


仕方なく、いうことを聞いて頭を下げてから家に入った。

ドアの向こうから車の走り去る音が聞こえた。



< 13 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop