白衣を脱いでキス。
そこからたいした話題という話題はなかったけど。
でもやっぱり心臓はドキドキしたまま。
「あ、ここです」
思っていた以上に家までの時間が短く感じた。
「家、暗いけど、家の人はいないの?」
一戸建ての築山家を車内から見ながら先生が心配そうに言う。
「共働きなんです」
あと1時間もすれば帰ってくるはず。
「そっか。じゃあ、また明日ね」
「はい」
本当に明日も行っていいんだ。
あたしが車を降りてお礼を言うと、いえいえ、と笑った。
あ、笑うとちょっと幼く見えるかも。
先生の車を見送ろうと立っていると、助手席の窓が開いた。
「家に入るまで見てるから、早く入りなさい?」
「はぁい」
仕方なく、いうことを聞いて頭を下げてから家に入った。
ドアの向こうから車の走り去る音が聞こえた。