白衣を脱いでキス。



翌日。

あたしは今日もあおぞら歯科医院に来てる。

昨日、家まで送ってくれた誠さんに言われた通り、19時に。


「理子ちゃん」


昨日、虫歯は削ってもらったからもう患者じゃない。

だから表からは入りづらくて裏口でうろうろしてると、誠さんが顔を覗かせた。


「こんばんは、誠さん。まだお仕事中でしたか?」


白衣姿にドキドキしながら尋ねると、腕を引かれて中に入れられた。


「今日はもう終わりだよ。理子ちゃん、すぐにとは言わないけど、敬語、やめようね」


腕を放されて、誠さんの後ろを歩く。


「…気をつけます。誠さん、今日はなんであたしを呼んだんですか?」


「んー理子ちゃんにバイト、してもらおうかと思って」


……誠さんののんびりとした口調に足を止めた。


「バイト、って…誰が…」


「誰って、理子ちゃんに決まってるでしょ」


あたしが足を止めたことに気づいた誠さんが振り返って腰を屈めてくれた。

同じ目線の高さ。


「あ、あたし?」


「そ。いや?」


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