親友以上恋人未満。
真冬と直樹



只今、片想い真っ最中。


「はよー、真冬【まふゆ】」


この聞いただけで寒くなるような名前があたしの名前。

そして声の主があたしの片想いの相手、クラスメイトの直樹【なおき】。


「おはよう、直樹」


これが毎朝のあたしたちの挨拶。

男女から人気者の直樹はもちろんあたし以外の女の子にも挨拶をする。

それがたまらなくいやだけど、彼女でもないあたしには何もいう権利はない。


「真冬ちゃーん」


バタバタという足音がしたと思ったすぐあと、背後から抱きしめられた。

もちろん、これも毎朝のことだから誰かなんて顔を見なくてもわかる。


「おはよう、亜美【あみ】」


クラスメイトで親友の亜美。


「亜美、おはよー」


通りかかった直樹は亜美にも当然のように挨拶をかける。

最近…前から思ってはいたけど、なんか亜美と話すときに直樹って微妙に声が裏返ってるような…。


「おはよー直樹くん」


亜美は無駄に元気な直樹をくすくす笑っている。

亜美は薄茶のサラサラロングヘア、小さな背。

あたしとはまるで正反対だ。


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