CALL =フィヨルド=
第0話 =歴史の始まり=
これはある一つの
未来の話…─
科学の発展は止まることなく進み、伝統文化や自然といった歴史の産物は
鉄や鉛に支配され、姿を消していった。
終わることなき戦争
利益のない兵の血
ついには戦いに目的さえ見えなくなっていた
泣き叫ぶ子供
赤子を護る母
逃げ惑う群衆
それをただ、冷酷に、非情に、躊躇うことなく奪い取る
落とされる核
人は世界に絶望し
絶望は人を救わず
また世界は荒む…
そんな混沌たる世界に偶然か必然か
一人の神が現れる
外見は普通の人間となに一つ変わらない逞しい青年
しかし青年は違った
無から刃物を生み出し
天候を支配し
背中から翼を携え、空を歩く
その青年はわずか一夜にして争いを鎮め
大陸を細かく分断し
自然を回帰させ
力と想いと伝説を残し、姿を消した…
伝説は後に名を持ち
語り継がれる伝説は歴史の一話の始まりだった。