超人戦争
 波浪(はろう)の響音(きょうおん)が、心地(ここち)よい。
 群青(ぐんじょう)の南極海を遠望(えんぼう)しているのは、サタン、デーモン、ゼノンである。
「取敢(とりあ)えず初戦は突破した。だがこれからが問題だ」
 サタンの言(げん)に、デーモン、ゼノンは唇(くちびる)を噤(つぐ)んでいる。
「私は、今こそ進取(しんしゅ)すべきだと考えます」
 デーモンの意見に、サタンとゼノンは首肯(しゅこう)している。
「アルス(オーストラリアを指す)とケミン(ニュージーランドのこと)、この二つを攻略し、神軍に我々の実力を知らしめ、南極侵略を断念させる」
 サタンとゼノンは、同意した。
「敵が戦闘態勢を建て直す前に叩(たた)き、敵軍の二大拠点(きょてん)を奪取(だっしゅ)する。そうすることにより、敵の士気を萎(な)えさせるのだ」
 サタンの声には、張りがある。
「サタン様。アルス攻めを、是非(ぜひ)私に御任せ下さい」
 デーモンの申し出に、サタンの動作が停止した。
「それは、如何(いか)なる所存(しょぞん)だ」
「アフロンは優秀な司令官ですが、この度(たび)の戦勝は、第一軍の援軍を受けての辛勝(しんしょう)でした。今度は恐らく敵は、天使を主力として、総攻撃をしてくるでしょう。そうなれば、前回の様に援軍が出せるかどうか」
「その時は私の直轄軍を」
「それはいけません」
 デーモンとゼノンは、同時に反対した。
「直轄軍は南極防衛の為の、最後の部隊なのです。使ってしまえば、後が無い」
 ゼノンの四つの強面(こわもて)が、口々に説諭(せつゆ)した。
< 15 / 29 >

この作品をシェア

pagetop