小春日和

アタシは走って教室を出た。

もう、気まずいとか。
何て話しかけようかとか。
そんな事どうでもよかった。

小春ちゃんに会いたい。

それだけ。


保健室の扉を開くと先生がちょうど出て行くところだった。

「あっ水野さん」
「先生、小春ちゃんは!?」
「笹本さんならベッドで寝てるわ。ちょっと出てくるけどあと頼んでもいいかしら?」

アタシは先生に「はい」と返事をかえしてカーテンのかかったベッドに向かった。

「小春ちゃん?」

小さく名前を呼んでみたけど返事はなかった。
そっとカーテンを開けてベッドの横にあるイスに座った。

小春ちゃんは眠っていた。
よく見ると目の下にクマがある。
最近、眠れてなかったんだ。

「ごめん…」

ポツリと呟いたとき小春ちゃんの瞼が動いて目を覚ました。


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