死霊むせび泣く声
 やがてトイレ内の臭気も消えてしまう。


 俺ももういいやと思って、一応買い置きしていたトイレの消臭スプレーを撒き、トイレに付いている窓を開け放つ。


 外からは熱が入ってきた。


 灼熱とも言うべき一日が始まりつつある。


 俺は考え続けていた。


「不動産屋に今度言ってやろうかな」と。


 やはり時代がどんなに進んでも曰く付き物件の類はあるのだ。


 俺はその手の物件を貸された可能性が高いと思い、訊いてみることにした。


 朝一のコーヒーを飲み終えて、キッチンでグラスを洗ってしまっていたので、俺は今日一日何をしようか考え始める。


 里夏と二人きりで過ごすのが一番だと思っていたが、外に出てみるのもいいかもしれないと思っていた。


 幸い、俺は車の運転ぐらい出来るので、愛車に彼女を乗せ、軽くドライブしてもいい。

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