死霊むせび泣く声
 食事じゃ取れない栄養素が必要だと感じていて……。


 社会人になってから、学生時代のように自由が利かないので、栄養が付くものは食べられないのだ。


 拘束時間も普通に十一時間弱ぐらいあるのだし。


 俺たちは相合傘(あいあいがさ)で、海に向かって歩き始める。


 互いにサンダルを履き、雨降りの中を一歩一歩前進した。


 海の水に纏わる霊の恐怖が自分たちを待ち受けていることなど、思いもせずに……。
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