死霊むせび泣く声
 里夏が、


「気を付けてね」


 と言って、パラソル下で持ってきていたペットボトル入りの水を飲み始める。


 夏場は水分補給が欠かせないからだ。


 俺も海に入る前にある程度水分を補っていた。


 海へ入っていくと、辺りを覆っていた熱が体に纏わり付くのが幾分緩和され、俺は海でも徐々に深いところへと入っていく。


 ちょうど一番深い場所まで泳いできて、しばらく遊泳(ゆうえい)していた。


 泳ぎながら、肌が焼けていくのを感じ取る。


 俺は太陽に焼かれながら、帯びていた肌の熱を海水で冷やす。


 ゆっくりと泳ぎ続ける。


 もういいかなと思って、ビーチに向かい歩き出すと、不意に右足の足首に何かがくっつく感触がした。


“えっ?何だ、これ?”
< 46 / 155 >

この作品をシェア

pagetop