引っ込み思案な恋心。-1st











「えーーっと、あと残ってるのは、長縄と玉入れと障害物競争……」






ホームルームの時間も終盤に差し掛かって、それまで黒板にひたすら名前を書いていた体育委員が残りの人数を数え始めた。





「全部合わせてあと4人ね。一人2種目決まってない人、立ってもらってもいいかな!?」






ガタ……





軽く椅子を鳴らしながら、私は席を立った。






クラスのみんなの勢いに押されていたら、手を挙げるタイミングを失ってしまっていた。





「あれ?杉田決まってなかったの!?」





立ち上がった私を見て、隣の席の瀬川くんが声を上げた。





「う、うん…」





私は力なく頷いた。





瀬川くんは体育が得意だから、みんなから注目を浴びるリレーと徒競争に決まったようだった。





「そっか…。でもさ、合計枠は4人なのに、何で3人しか立ってねえの?」





瀬川くんの言った通り、私の他に男子一人、女子一人が立っているけど、もう一人が立っていない。






何故なら………





「あれ?柚、もしかして、まだ全然種目決まってない!?」





壇上にいたあゆが、黒板の名前を見ながら大きな声を出した。





や、やっぱりバレたか…。





いや、名前見たら分かるし、バレないわけないんだけど。





すると、そんなあゆの大声を聞いた瀬川くんが横から突っ込んできた。





「え?杉田、一つも決まってなかったのかよ?誰か、細井とかと一緒の種目に適当に手ぇ挙げときゃ良かったのに」



「いや……」





ななっぺの種目は……、むかで競争と4人5脚。





どっちも誰かと身体をくっつけないといけないし、小人数のチームワークが重要。





……私には無理だよ。。。












結局余った3人で話し合って出場種目が決まったんだけど、私はやっぱり遠慮してしまって、余りものの種目になった。













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