引っ込み思案な恋心。-1st





「俺、不思議だと思ってたんだ。一人だったはずの杉田にこんな短期間に人が集まるなんて、杉田を利用してるとしか思えなかったから。けど、今ので納得した。ちゃんとみんな杉田を慕って集まってたんだな。俺の方が何も見えてなかった」






倉本くんは軽く息を吐いて、ゆっくり私の方を見てきた。





その表情は、ちゃんと納得して反省したという感じだった。






「杉田、ごめん。ひどいこと言った」





私は、思い切り首を横に振った。





「ううん。倉本くんの言ったことも事実だし、実際そう思われててもおかしくないと思うから。気にしないで」





すると、瀬川くんは倉本くんの肩をポンポンと叩いた。





「良かったなー、杉田が優しいやつで。まあ、優しいからみんな集まるんだけどな♪」



「何で瀬川が得意気になってるのよ?」





あゆが瀬川くんにそう聞いたら、瀬川くんは満面の笑みでこう答えた。





「だってさ、お前らよりも早くから杉田の良さに気付いてたんだぜ?宝を一番に見つけた気分だなー」



「はははっ!宝って!!柚は人間でしょーが!」





あゆが切り返すと、周りのみんなからもクスクスと笑い声が聞こえてきた。





私も面白くて笑いがこらえきれなかった。






だけど……





瀬川くんが私のことをそんな風に思ってくれていたなんて。





もう、誰にも気付いてもらえないと思っていたのに。







私は、とても不思議な気持ちだった。





前に瀬川くんに、『話してみたかった』って言われた時ぐらい――





どこからか、ドキドキと鼓動が高鳴ってきた。









笑い声が瀬川くんの部屋を優しく楽しく包み込み、ようやく和やかな雰囲気に戻ったところで、私達は瀬川くんの家を後にした。











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